膣や陰部、オリモノの異常

感染しても気づきにくいタイプのものもありますが、たいていの場合、外陰部の痛み、かゆみ、おりものの量の変化といった不快感をともなう自覚症状があらわれます。オーラルセックスによる喉の感染も多くなってきています。

セックスによって感染する病気の総称です。

性の価値観が開放的になる一方、性感染症の知識が不十分なことから無防備なセックスをおこなうことによって、近年増加しています。(図1)

そのまま放っておくと、知らないうちに症状が進行してしまい、不妊症の原因になったり、妊娠している場合は赤ちゃんに危険が及ぶことがあります。

性交経験のある女性で、心当たりがある場合、何かおかしいな、と感じたら早めに検査と治療をうけることが大切です。

名称

特徴

症状

クラミジア感染症

クラミジア・トラコマティスという微生物が原因。若年者、とくに女性に関してはティーンエイジャーにも流行している。通常のセックスだけでなく、オーラルセックスによって喉の粘膜にも感染することも報告されている。症状が進行すると卵管の癒着による不妊症、妊婦では、流産・早産の危険性も。またHIVへの感染率が健康な人より数倍高くなる。

女性の場合はおりものの量が多少増えたり、軽い下腹部痛が出ることもある。妊娠時に検診を受けてはじめて過去の感染がわかる人もいる。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルスにより感染し、一度かかるとウイルスが体のなかに住みついて、体力が落ちたときや月経・妊娠時に再発を繰り返すことも少なくない。出産時の性器ヘルペスは母子感染し、新生児ヘルペスをもたらす危険性もある。

感染して数日~1週間後、外陰部にかゆみと痛みをともなう水疱があらわれ、これが破れて潰瘍になると激しい痛み、発熱がおこる。排尿痛や歩行困難を訴えることもある。

尖形コンジローム

ヒトパピローマウイルスによって感染するSTD。3週間~8ヶ月と潜伏期間が長いため(平均2.8ヶ月)、感染者が無自覚のままパートナーにうつしているケースもある。ヒトパピローマウィルスの種類によっては子宮頚がんとのかかわりが指摘されており、早めの検査と治療が重要になる。

性器から肛門にかけて、先端のとがった小さなイボが多数できる。さらに症状が進むと、イボが集中してカリフラワー状の腫瘍になることもある。ただし、イボ自体はほとんど良性のもの。

トリコモナス腟炎

トリコモナス原虫が腟や膀胱に寄生しておこる。主な感染経路はセックスだが、まれに、ぬれたタオルやトイレの便座、お風呂などでうつることもある。

女性の場合、おりものの色や量、臭いに変化が出たり、性器付近のかゆみや、むずむず感がおこる。

淋病

淋菌が原因のSTD。感染力が強く、1回のセックスでうつる確立は30%程度といわれる。感染が進むと卵管炎に進み、これが不妊などの原因になることもある。

感染から数日後、おりものの増加、外陰部のかゆみ、さらには腹痛をともなうこともある。とくに膿のようなおりものには注意が必要。

HIV感染症
(エイズ)

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染でかかるSTDで、潜伏期間が数ヶ月~10年と長いのが特徴。国をあげての対策が実を結び先進諸国では減少傾向にあるが、日本ではいまだに感染者が増加中。

感染初期はほとんど無症状。免疫力の低下とともに下痢、のどの痛み、発熱といった風邪に似た症状があらわれ、さらに進行すると感染症、悪性腫瘍を多発、死に至ることもある。

医師による問診のあと、内診でおりものの採取(膣分泌物検査)や血液検査をおこない、病原体を特定します。

治療には膣坐薬や軟膏、内服薬や注射などを使用します。

病気によっては治りにくいものや再発を繰り返すものもありますので、完全に治るまで10日~2週間、長いものだと数ヶ月程度、医師の指示に従って根気よく治療をおこないます。(自己判断で治療を勝手にやめないで下さい。)

また感染症にかかっていたら、必ずパートナーに話して検査をうけてもらうようにしましょう。男性は泌尿器科などで受診してください。

  • セックスにはコンドームが簡単かつ有効です。
  • 膣分泌物、精液、血液と直接接触しない。口から性器、性器から口へと感染するものもあります。
  • 出血をともなうようなセックス(オーラルセックスなど)を避ける。
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