性暴力、セクハラ、DV

性暴力、セクハラ、DV

女性の健康を支援する活動

現代女性がかかえる様々な健康問題には、社会的な背景が大きな影響を与えています。 喫煙の被害、ドメスティック・バイオレンス、望まない妊娠と性感染症、うつ病、ストレスによる摂食障害などは、男性よりも女性が受ける健康被害の方が大きく、これらの問題は医療技術のみでは解決できないものです。 女性の健康に関する問題提起を通して、疾患とそれに苦しむ女性への理解と社会的サポートを促す活動を行います。

DVとは、配偶者や恋人など親密な関係にある人からの「暴力」をいいます。DVの本質は、相手を支配するための手段として暴力を使うことです。DVにおける暴力とは、殴る、蹴るといった身体的な暴力だけでなく、精神的な暴力なども含まれます。DVのうち、未婚の若い男女のあいだに起こるDVを、デートDVといいます。

暴力は愛のあかしではありません。「男性の乱暴や支配的な態度は、愛のあかし」と思っていませんか?
暴力は、相手をコントロールするためのテクニックです。相手をコントロールしても平気なのは、相手を大切に思っていないからです。暴力は決して「愛情」を示す方法ではありません。

◆◆種部院長からの処方箋◆◆

見逃されることの方が多い健康問題がある。DV(ドメスティック・バイオレンス)だ。DVは恋人や夫から受ける暴力。殴る、蹴るなら気付くが、「無視する」「脅す」「怒鳴る」「行動を束縛する」「電話やメールを監視する」「生活費を渡さない」「性交を強要する」「浮気をする」-などは暴力と気付きにくい。「気付きたくない」という自己防衛が働くこともある。「仕事や生活を失いたくない」「子どもをひとり親にしたくない」「自分さえ我慢すればいい」とフタをしてしまう。長く続くと、自信をなくし、無力感のため、逃げ出す意欲もなくなる。 その苦痛が心身の症状に転換されることは稀ではない。不眠や意欲低下、イライラ、食欲不振、息苦しい感じ、動機、不安感、めまい、倦怠感などを訴えるものの、検査で異常がない。
「ホルモンバランスの異常でしょうか?」「更年期でしょうか?」と受診に来る女性たちにも、放っておけない例がある。「DVです」-と認識してもらおうとするが、DVと分かっても経済的不安などのため逃げられない女性も多く、助けたいのに助けられないことが実に口惜しい。
DV相談は年間十万件余りにも上る。DVと気付いたら選択肢は二つ。DV夫との生活を続けるか、新しい人生を踏み出すかのどちらか。
後者の第一歩は、踏みにじられ壊されてきた自分の価値を思い出すこと。

(2011年3月 北陸中日新聞)

身体に不調のある方、医師に相談を希望される方
女性の立場に立ったカウンセリングを希望される方

セクハラ

簡単な定義で言えば「相手が不快に感じる性的な言動」です。

例えば
・軽いボディタッチ
・職場に女性を性的な対象として見ている掲示物を貼る
・相手は褒めているつもりだが、「今日は肌のつやがいいね。彼氏が出来たんか?」などのプライベートを詮索するような言葉
・「おばさん」という呼び名
・「そんなおっぱいやパンツが見えそうな格好をしてたら、どこの風俗の娘かと思われるぞ」というような服装への注意
・利用者によるセクハラ(施設の利用者が、そこの職員をじっとみつめたり、ついてきたりする)
 など

(1) された側がどう感じるかでセクハラかどうか決まります。
(2) 必ずしも嫌だと言えない場合もあります。
(3) 勤務時間外(研修先など)やキャンパス以外でもセクハラになり得ます。
(4) 正社員だけでなく、非正規、パートも対象です。


環境型セクハラについて

① 女性に対する性別意識

「男は仕事、女は家庭」「女は男を助ける役割」という伝統的ジェンダー意識(差別意識)を持っていることが影響しています。従来男性中心だった職場に進出し、男性以上に能力を発揮している女性に対して、「女の分をわきまえろ」という攻撃を加えます。

② 女性を排除する手段としてのセクハラ

能力もあり、がんばって働こうとしている女性は、仕事が厳しくてもなかなか音を上げてギブアップすることはありません。合法的にその女性を職場から排除する手段がない場合に、セクハラは女性を疲弊させ、やる気をなくさせます。

③ 加害者のコンプレックスや自尊心の低さ

男性の優位性を誇示する彼らも、本当に自分に自信があるわけではないと思われます。必死になってセクハラする姿からは、そうしなければ男性としての権威が保てないという脅威を感じていることが伝わってきます。自分たちと同様に仕事をして同じだけ稼ぐ女性に対しても、引け目を感じることなく堂々としていられるのが、本当の意味での自信に満ちた男性像と言えるのではないでしょうか。

パワハラ

簡単な定義で言えば「職場における力関係を背景とした、いじめ」です。

例えば…
・人前で(利用者にも聞こえるところで)怒鳴られる。
・他の人が同じことをしても問題がないのに、自分だけ個室に呼び出され、長時間にわたって執拗に非難される。
・新しい上司が「自分が上司だから自分の言うとおりにしていたらいいんだ」と言って、自分のやり方を一方的に押し付けてくる。
・仕事の相談をすると「君に能力がないから」と聞いてもらえない。
・勤務時間中は何も指示をせず、飲み会の席で何度も同じことを非難する。
・殴る、蹴るなどの暴力をふるわれる。
・「若い女性や派遣社員を雇いたいから辞めてくれ」と日常的に言われ続ける。
・一方的に個人の根も葉もない噂や悪口を上司に言いつけ、職場から排除させるように仕向ける。
など

被害者はなかなか相談できない

セクハラ・パワハラの被害者の多くは「自分が悪かったのではないか」「自分にも問題があったのではないか」と自分を責め、罪悪感を持つことがあります。 実際は加害者に責任があり、被害者が悪いわけではないのですが、「自分がもっと早く気付いていれば防げたかもしれない」「きっぱり断っていたら、こんなことは起こらなかったのでは」などと考えてしまう被害者も多いのです。そのような自責感、罪悪感があると、相談しても逆に責められるのではないか、と怖くてなかなか相談できなくなってしまいます。

また、周囲から「あなたにも問題があったのでは?」「それくらいのことよくあるわよ」などと言われるような二次被害の影響は深刻で、ますます、被害者は孤立し、力を奪われてしまいます。

セクハラ・パワハラは「人権侵害」です。 私たちは、「よく相談に来てくれました」とあなたを歓迎します。

どのような形であれ、同意のない、対等でない、強要されたセックスは、すべて性暴力です。「暗い夜道で、見知らぬ人から」被害を受けることはむしろ少なく、多くは顔見知りや近い関係の加害者(部活動の先輩、会社の同僚や上司〈セクハラ〉、先生などの指導者〈スクールセクハラ〉、親や兄弟、友人、知人)からの性暴力です。

相手を訴えたい、謝らせたい
性感染症や妊娠が心配
被害を受けてから後遺症に苦しんでいる

私たちにできるお手伝いをします。被害にあったら、勇気を出して、できるだけ早く私たちに相談に来てください。一日でも早い方が、その後の選択肢が多くなり、緊急避妊や病気の予防など、十分なケアもして差し上げられます。

性暴力被害にあったら……

同意のない、対等でない性交は、相手が誰であっても、どのような状況であっても、すべて暴力です。We!TOYAMAは、性暴力被害にあった女性のこころとからだに、必要なケアと支援をしたいと考えています。

性暴力被害にあったあなたやあなたの友人に、まず伝えたいこと

今、安全な場所にいますか?
けがをしていませんか?
相手が顔見知りの場合、口止めされたり脅されたりしていませんか?
あなたは何も悪くありません。何か恥ずかしいことをしたわけでもありません。
悪いのは加害者です。あなたは助けを求めてよいのです。

こんなことはありませんか?

① 急性期におこるからだの問題

・からだ・性器の外傷
・性感染症
・妊娠
・不安感、恐怖感
・パニック症状、眠れない

② 過去の性暴力被害で起こる慢性期の症状

・PTSD、フラッシュバック
・睡眠障害、パニック
・障害抑うつ状態、適応障害

私たちにできること

① からだのケア

(a)望まない妊娠の予防(緊急避妊)
被害から72時間(3日)以内であれば緊急避妊ピル、5日以内であれば緊急避妊リングで、望まない妊娠を防ぐことができます。
緊急避妊について

(b)望まない出産の予防(人工妊娠中絶)
妊娠21週まで(被害にあった日から19週間後まで)は人工妊娠中絶が可能です。
望まない妊娠・中絶について

(c)外傷の診断・治療
・被害にあった日は混乱しているため、痛みを感じないことがありますが、翌日になってから痛みが出てくることもあります。
・小さな傷でもきちんと診断をしておけば、後に相手に制裁を加えたいと思った時に役立つ可能性があります。

(d)性感染症の検査・治療
・性器クラミジア、淋菌感染症、梅毒、エイズなどは、感染初期には症状がありません。重症にならないうちに早く検査し治療すれば、後遺症は残しません。
・梅毒やB型肝炎などは、感染から8週間以上経過しなければ検査で見つけることができません。被害直後と8週間後の血液検査が必要です。また、被害直後の検査で異常がなく、8週間後に感染の成立が判明した場合には、加害者に傷害罪が加重されます。
・検査費用は、警察に届けを出す場合は、警察から負担されます。
性感染症の検査・治療費用

② 心のケア

・起こったことに混乱しているかもしれません。
・理由のわからない心の叫びや体の不調に苦しんでいるかもしれませんね。
・こころの傷に必要なのは、薬の治療とカウンセリングです。被害直後、できるだけ早いうちから心のケアを受けることで、長期にわたるPTSDを予防できます。
・当院では、被害を受けた女性のためのカウンセリングを行っています。
カウンセリングについて
・眠れない、不安感が強い…などの症状がある場合、お薬の治療も行います。

③ 証拠の採取~相手に制裁を加える場合の最大の決め手です

・あとで相手に制裁を加える場合、証拠を採取しておくことが何より重要です。
・被害をうけた直後は加害者の細胞などDNA鑑定の証拠になるものが残されていることが多く、DNAを証拠として採取・保存できるかどうかが、強姦・強制わいせつ罪を立証できるかどうかの決め手です。
・早く洗い流してしまいたいと思うかもしれません。しかし、できればシャワーを浴びたりしないで、できるだけ早く、クリニックに来てください。
・証拠採取後、相手を訴えるかどうかは、ゆっくり考えてもよいのです。

当院は完全予約制で、予約が混んでいることが多いですが、性暴力被害の場合は1日でも早い受診が必要です。 クリニックに来られる場合は、電話で「性暴力の被害を受けた」と一言告げてくだされば、できるだけ早く来ていただけるように対応します。

相手に対して制裁を加えたいとき

刑事責任を負わせたい→証拠が必要
性暴力は、「強姦罪」「強制わいせつ罪」という重大犯罪です。 ですが、殺人事件などと違って、被害にあったことを警察に届けなければ捜査は開始されません。 刑事責任を負わせたいときは、相手が加害者であることの証明ができるかどうかが重要なポイントです。相手の体液などの遺留物を、証拠として採取することができれば、加害者であることの証明とすることができます。
しかし、被害にあってからできるだけ早く証拠採取をしなければ遺留物は証明できません。 当院では性感染症の検査などを行う時に、一度に証拠の採取も行うことができます。 警察に被害届を出すかどうかは、ゆっくり考えてから、最終的には自分で決めてよいのですが、証拠をとっておこうと思うなら早く受診されることをお勧めします。
そのあとの流れについては以下に示します。

① 被害届の提出

刑事訴訟にしたい場合は、まず警察に被害届を出します。一人で行くのが不安なら、当院を受診された時に、当院まで刑事さんに出向いてもらうこともできます。女性の警察官に話を聞いてもらうことも可能です。

② 告訴 ~ 裁判

被害届を提出すると、刑事さんの事情聴取が行われます。その後、検察庁に書類を送り(送検)、刑事裁判にするかどうかは、自分で決めることができます。裁判にするときは告訴状を検察に提出します。書類の作成などは、弁護士さんなど、法律の専門家に頼むこともできます。その後は検察が犯人を起訴するかどうかを判断し、自動的に裁判がすすみます。

③ 裁判

強姦や強制わいせつは重要犯罪であるため、裁判員裁判が行われます。個人が同定できないような配慮がなされ、プライバシーは順守されます。

相談したらこんなことを言われたりしませんでしたか? ~ 二次被害について

女性が挑発したから被害にあったのではないか
暗い夜道など、危険な場所に行くから被害にあったのではないか
犯人は抑えきれない性衝動でとっさに犯行を行った
性犯罪は精神的な病気を持つ人など、特殊な人が起こす
女性にも「強姦願望」がある
本当に嫌なら死ぬほど抵抗するはずだ
女性は強姦されたと嘘をつく
~これらは「強姦神話」といわれるもので、すべて誤りです。このような言葉を投げかけた人は、あなたに二次被害を与えたことになります。
友人の相談に乗る場合も、強姦神話で傷つけることのないように。
「あなたは悪くない」と伝え、彼女がどうしたいのか、真摯に希望を聞いてあげてください。

望まない妊娠・中絶について

これらの女性のこころとからだの不調の原因を抱えている方へ、カウンセリングを行っています。

カウンセリングのご案内

女性の立場にたった女性によるカウンセリングです。 あなたが悩みの原因に気づき新しい一歩をふみだせるように応援します。 カウンセリングの回数や頻度などは、ご相談しながら進めていきます。 プライバシーは守られますのでご安心ください。

個人カウンセリング(完全予約制)
1回 60分 5,150円(税込、保険適用外)

月・火・水・金 9:00~17:00まで 木・土 9:00~12:00まで
※日・祝・第4土曜日は休診日です。

キャンセルは前日までにご連絡ください。
当日のキャンセルは、全額負担となりますので、ご了承ください。